決算特別委員会会議記録
平成25年11月29日(金)
○佐々木順一委員 それでは、質問させていただきます。
前沿岸広域振興副局長の菊池参考人は、先般の答弁で、山田町の第三者委員会の聞き取りを受けていれば、この事案は違った展開になったもの、このように述べております。
それで、県に聞きたいのは、菊池前副局長以外に第三者委員会から聞き取りを受けた職員がいるのかどうか、まずそれから確認いたします。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 報告書の中でも県の職員から聞き取りという記述がございましたけれども、まず、県庁におきましては、私が、委員長の訪問を受けまして、緊急雇用創出事業の全体像ですとか、全体のスキームとか、市町村に補助する場合の事務の流れなど、その概要を説明いたしました。そのほかに、宮古地域振興センターの職員が、宮古地区在住の委員に対しましてオール・ブリッジの概要を説明したということも聞いております。そういった経緯がございます。
○佐々木順一委員 そうしますと、県の見解とか主張とかといったものは聞かれなかったわけでありますか。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 御指摘のとおり、聞かれておりません。
○佐々木順一委員 しかしながら、第三者委員会の報告書には、例えば、県の了解を得ていることがひとり歩きした、岡田氏が県の担当者の名前を挙げていることから、県の関与が全くなかったとは言い切れない、町からの回答を簡単に認める形で完了検査を終了させているなどなど、県に関する記述が複数にわたってあります。
これらの一連の記述を県は認めるのか、あるいは反論があるのか、それをお聞きいたます。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、山田町の設置しました第三者委員会の委員の皆様におかれましては、この事件の解明について、当事者であるNPO法人の代表からも説明を受けられない中で、その解明に精力的に努められたものと考えておりまして、それに対して、また、山田町が委嘱した委員会の中でまとめたものでございますので、県として、その報告書の部分、部分を取り上げて反論するつもりはございません。
先日の前副局長の回答にもございましたけれども、県職員も呼んで話を聞いてもらえればという気持ちがなきにしもあらずでございますが、あくまでも山田町の立場での調査報告といった意味合いから、県職員への聞き取りはされなかったものだという理解で、あえて反論するものではございません。
○佐々木順一委員 それでは、先ほど検証委員会云々という話がありましたが、そちらのほうでも明らかになってくると思いますので、この質問については、この程度で終わりたいと思っております。
それでは、ちょっと確認させていただきますが、交付要綱に人件費比率は事業全体の50%以上、備品購入は50万円未満のもの、そして、今話題になっておりますが、リース云々については要綱などに明記されているのでしょうか。そして、これらの取扱要綱は、山田町役場に当然ながら送られているものと思っておりますが、それが送られているのかどうか確認します。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 この緊急雇用創出事業は非常に自由度、裁量性が高い事業でございまして、余り制約が要領の中には記載されてございません。先ほどのリースについては、国が出していますQ&Aの中でそういった記載をしております。当然、実施要領及び国から示されたQ&Aは、市町村にも提供してございます。
○佐々木順一委員 そうすれば、山田町の役場のほうで、要綱に基づいて、あるいはQ&Aも行っているわけでありますから、それをしっかりと読んで、理解をして事業をやっていれば、当然ながらこういう問題にはならなかったと思うんです。
それで、リース云々の問い合わせがあったどうのこうのというのが、さっき、この委員会でずっと話題になってきておりますが、何で聞かれたんでしょうか。読んでいれば聞く必要はないと思うんですが、どうなんでしょうか。自信がないから県に聞くんでしょうか、あるいは再確認なんでしょうか。その辺をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 先ほど申しましたとおり、非常に裁量性が高いということで解釈の余地がいろいろあるものですから、そういう意味で多々、国との窓口である県に対して、制度の適用、これはどうなんだという質問は市町村からいろいろ参ります。そういう中の一つだったと考えております。
○佐々木順一委員 いずれにしろ、しっかりと要綱に基づいて、あるいは疑問があれば、Q&Aというものが行っているわけでありますから、それをしっかりと読んでいれば、こんな問題にはならなかったと私は思います。
それで、もう一回確認しますが、今回、自由度の高い補助事業ということでありますが、県の関与はどの程度までやれるわけでしょうか、改めて確認いたします。
また、御蔵の湯の関係についてですが、先般の参考人招致で、沼崎前町長は、御蔵の湯のような施設が緊急雇用創出事業に該当すると思ったのかとの質問に対しまして、事業について決裁の際、町の担当者から、仕組みについては県と事前協議済みと説明を受け了承した。こう答弁しております。
この前町長が言う事前協議なるものはあったのかどうか。あったと県は認識しているのか。そして、もしあったとすれば、山田町役場の誰と、いつ、どのような協議をしたのか、ちょっとそこを確認いたします。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、事前チェックでございますけれども、市町村が行う委託事業につきましては、その事業費、これは当然、全体の県が考えている予算規模の中に入るかとか、雇用者数の確保、そういった確認、あるいは人件費は2分の1以上でなければならないとか財産取得は禁止される、そういったルールに合致しているかの点検は、当然行います。ただし、個々の委託事業の内容につきましては、国の実施要領で市町村が企画した事業を対象とするという規定をしておりますので、そこは基本的に認めているところでございます。
二つ目に、町から県に対する照会、事前の相談ということでございますけれども、これは我々内部でのこれまで行ってきた内部検証の一つだと思いますけれども、当然、県で当時関係した職員への聞き取りは行ってございます。そうした中では個別具体の内容による町からの協議は確認できませんでした。さらにそれを裏づける意味で、町のほうにも具体的にいつ、どういう協議を受けたのか、当然あれば県としてそこを追及していかなければなりませんので、そういう問い合わせは行いましたけれども、それについては具体的なものは提示がございませんでした。
○佐々木順一委員 今、役場のほうに問い合わせたということでありますが、それはこの前の参考人招致の後ですか、前ですか。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 前でございます。
○佐々木順一委員 はい、わかりました。それでは、先般の沼崎前町長の御発言の事前協議云々というのはちょっと疑問があるものと私は理解したところであります。
次に、今回の緊急雇用創出事業は平成24年度で777事業になっております。111億円余となっておりますが、この点について、完了検査などの手続について確認いたします。
市町村への完了検査はどのように行ってきているのでしょうか。一つ一つの事業について、事業の委託先の団体にまで業務を運営しているのかどうかまで調査できるのかどうか、一般論で構いませんのでお伺いいたします。
また、国は、県が直接行っている事業についてどのような完了検査を行っているのか、その作業の内容についてお伺いいたします。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 今、委員から御紹介がございましたとおり、平成24年度の市町村への補助して行った事業は全部で777事業、総額111億円余ということで、事業数、事業費とも膨大でございます。そういったものを年度末の短期間で完了確認を行っていくわけでございますけれども、当然物理的な制約もあり、ある程度市町村が行っている完了検査というものを前提に県も内容確認をしてまいります。
市町村への完了確認につきましては、経費の支出内訳でありますとかその証拠書類――領収書等でございます、人件費の割合あるいはその支出の裏づけなどを確認しておりますけれども、委託先の団体の運営状況でありますとか支出の内容が適当なものかという一件一件の調査、そういったことについてはなかなか難しい。そこは市町村の検査の中でなされているものという理解で進めております。
国の県に対する完了確認のような検査でございますけれども、基本的にはございません。県は国に対して、事業結果について、事業費、雇用者数あるいは100字程度の事業概要、それを年度末に一覧表の形で報告するということで、あえて申し上げれば、会計検査院が来た際に抽出で検査するということでございます。
○佐々木順一委員 国は完了検査なしということですね。わかりました。
それでは、監査委員にお伺いいたします。
まず、今、話題になっている御蔵の湯の決算については平成23年度岩手県の決算で決着済みだと思っております。平成24年度分のこの補助金については、大雪りばぁねっと。NPO法人に委託した事業は、計画額7億9,000万円に対しまして、最終的に適正に使われたものは2億9,000万円と確定させて、前金払いした補助金の一部は本年5月の出納閉鎖期間内に山田町から県に返還されまして、そして年度内に処理が完了しているものと思っております。一方、山田町の平成24年度決算は本年9月に認定されているものと思います。県の平成24年度決算は、監査委員の意見を付して、議案として今、提出されております。年度途中に過払いがあり、年度内に返還処理され反映された予算は――今の決算ですね、これは適正なものと監査委員は考えているのか、改めてそれを確認させていただきたいと思っております。
○伊藤監査委員 ただいま委員御指摘のとおりの認識でございます。平成24年度の山田町の緊急雇用創出事業については既に精査が終わりまして、その確定額について年度内に返還がなされているということで、決算そのものは適切なものというぐあいに思っております。
○佐々木順一委員 適切なものを我々、今、審査しているわけでありますし、御蔵の湯は平成23年度決算で決着済みということであります。そういうことです。
それで、補助金適正化法上の問題点について若干お伺いいたします。
先般、沼崎参考人は、役場の眼下100メートル先に設置された御蔵の湯に関して、でき上がって初めてどのような施設かを知ったということを述べております。また、NPO法人に対しましても、その適性について調査もしなかったと。指導も知らなかったと、こう答えておりますが、この発言は、私は、補助金適正化法に照らし合わせますと、先ほど来再三言われておりますが、善管――善良な管理者としての義務の定めに反するものと思うんですが、監査委員は、一般論で構いませんが、どのような見解をお持ちなのかお伺いいたします。
○伊藤監査委員 答弁する前に、市町村への監査はどうかということですが、これは法的には可能だと考えられるところですが、ただ、各市町村、自治体には議会もありますし、それから監査委員もいるということで、監査の対象外としているのが一般的だ、私どももそういう考えでございます。そういうことで、山田町の監査については行っておりません。
それから、今、司法の場というか裁判になっているそういう問題について、県の監査委員としてお答えするのは差し控えたい。御了承いただきたいと思います。
○佐々木順一委員 それでは、執行部に聞きます、今の質問。簡単に言うと善管注意義務違反ではないかということを私は端的に聞いたわけでありますが、監査委員と同じ回答ですか。
○寺本雇用対策・労働室長 ただいま、山田町につきまして善管注意義務があるのかということでございますけれども、率直に申し上げまして、いろいろな考え方があるかもしれませんが、我々としてもコメントできないものと考えております。
○佐々木順一委員 それはあれですか、裁判中だからという意味ですか。
○寺本雇用対策・労働室長 係争中である以前にお答えしにくいものでありますし、そもそも第一番目に考えなければいけないのはやっぱり山田町のことでございますので、山田町の方々が御判断すべきものと考えます。
○佐々木順一委員 緩く解釈すれば、これからも県と各自治体とは信頼関係を維持していろいろな県政課題あるいは地域課題に当たらなければならないので、その良好な関係は今後とも維持していきたい、その信頼関係を壊したくない、こういうことだと思いますので、そのように勝手ながら理解させていただきたいと思っております。
それでは、実績報告について聞きます。
御蔵の湯を補助対象と認めましたが、現在は補助対象外となっております。平成23年度完了検査時、県は見逃したという指摘もあります。山田町が提出した実績報告書には真実が記載されていたのでしょうか。平成24年5月8日の、先般の参考人招致の委員会で配付されました資料ですが、御蔵の湯に係る確認事項については、建設土木事業には当たらないと山田町から提出された資料には記載されております。その後、この御蔵の湯につきましてはいろいろな問題が起きまして、県の事後調査によって、あるいは、これは多分関係者からの聞き取り調査も含めての話だと思いますが、建設工事であることが明確になったところであります。
事実はこの流れになるわけでありますが、私が問題とするのは、山田町から提出されたこの公文書です。これは、一般的には誤記入とか誤表示とか、そういったレベルのものではないと思うんです。文書をつづっているわけでありますから、何らかの考えがこの文書の記述には反映されているものと思いますが、結果的にこの内容はうそであったということが言えると思います。県はこれを信頼したわけであります。ということになるわけですよ。よって、山田町が提出したこの文書は法的にどういうことになるのか。特に補助金適正化法上どうなるのか、どなたか執行部でもいいし監査委員でもいいんですが、お答えできるのであれば見解をお伺いしたいと思います。
○伊藤監査委員 済みません、そっけない答弁になりますが、先ほどと同様でございまして、山田町の監査は行っていないということ、それから訴訟中であるということで、この件についても答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
ただ一つだけ、客観的に事実認識ということで申し上げれば、山田町の緊急雇用創出事業は、NPO法人、いわゆる大雪りばぁねっと。に委託して行っている事業であるということは事実でございまして、要は、山田町が管理監督、指導、こういったものをやっていく必要は当然あるだろうと私は認識していますが、その両者が現在、裁判で争っていると。そういう事実をどう考えるかということだけ客観的事実として申し上げさせていただきたいと思います。
○佐々木順一委員 執行部はどうですか。同じですか、答弁は。同じなら同じでもいいから。
○寺本雇用対策・労働室長 コメントは同じでございます。補助金適正化法下では罰則規定がありますけれども、それに該当する云々につきましてはコメントできないものと考えています。
○佐々木順一委員 いずれにしろ事実は事実なんですね。この文書は山田町の役場で責任を持って提出したわけでありますが、結果としてこれは、虚偽とまではいきませんが、事実に即していない記述があったということだけは強調したいと思っております。
それでは、また同じことになりますが、県の指導が再三言われてきております。しかしながら補助金適正化法には、先ほど自由度の高い性格の補助金という答弁もありましたが、不当干渉、簡単に言うと余計な介入はしないようにと。極力、自由、ここで言えば山田町ですが、山田町の主体性に任せるべきだと。不当な介入、干渉は避けるべきだ、こういう規定があります。県は、この規定を今回どの程度意識してこのたびの一連の事業に対応してきたのか、それをお聞きいたします。
○高橋特命参事兼雇用対策課長 事業を実施している過程におきましては、この事業に限定された話ではございませんけれども、県は基本的に、その市町村に対して過大な干渉はしないということを基本に対応してきているものでございます。ただ、今回の事案発覚後、それ以降の対応につきましては、当然、県として、補助金の適正確保という意味合いで積極的にかかわってまいりました。
○佐々木順一委員 時間でありますからそろそろやめますが、ちょっと感じたことを私、申し上げたいと思っております。
まず、森のトレー問題でも県はかつて苦い経験をいたしました。あれも補助金でありました。ただ、今回の件と違うのは、今回のこの緊急雇用創出事業については、単純な補助金です、国から県、県から市町村と。森のトレーの場合は、各委員も御承知のとおりだと思いますが、県で企画して、県で林野庁に行って予算を確保して、そして県の主導のもとに自治体に協力を要請して、そして委託者に委託して事業展開したものでありますから、県が物すごく関与した補助事業でありました。今回の場合は単純な補助事業でありますから、いわば県はトンネル機関、スルーする機関だっただけと私は思っております。
その一方において、今回の補助事業を契機にして、再発防止をするということを本気でやる。本気といいますか、もし理想的なことをやろうとすれば、この補助事業に県職員を一人一人つけるよりほかないわけであります。現実的にそこまでやれるのかと。ほかの県行政が逆に言うと停滞するおそれもなきにしもあらずだと思います。
それからもう一つは……(「擁護するのか」と呼ぶ者あり)擁護でもない。
補助事業をこのような問題が起きないようにするためには、国から市町村に直接事業をやればいいわけなんです、本来は。それは制度上、県を経由するということになっていますから今さらどうしようもないわけでありますが。そして、責任を県も担うとなれば、仮に責任を何らかの形でとった場合、今後、悪い例を残すことになります。いろいろな補助事業がこれからまだあると思いますが、今回、県が責任を仮に認めた場合、各団体から、あのとき山田町の問題で県は責任をとったんだから、我々の今度の問題についても責任をとってくれと、こうなりますよ。本当にこれでいいのかと私は思います。
今、私が申し上げましたが、この点について、部長、何か感じるものがあれば御見解を聞いて質問を終わりたいと思います。
○橋本商工労働観光部長 この事案につきましては、委員会冒頭に申し上げたとおり極めて遺憾な事案であると受けとめておりまして、NPO法人が直接的な原因者であって、その責任は極めて重いと考えております。大震災津波からの復興という極めて混乱していた中とはいえ、こうした異常な事件が起き、未然に防ぐことができなかったということは大変残念に思っております。県民の方から見ますと被害を最小限にできなかったという批判はあると理解しておりまして、この結果につきましても重く受けとめているところでございます。
また、さきの参考人質疑で、前町長からは県の責任と言われておりましたが、その意味するところと県が考える県の役割は別のものと考えております。前町長が発言されております県の責任につきましては、本来は事業実施主体として町が果たすべき責任と考えているところでございます。事業の決定権を持つのは誰かといえば、それは町であり、したがって補助金返還も、その原因となった事業を執行した町が負うべきものと考えているところでございます。
一方、県が考えます県の果たすべき役割につきましては、市町村に必要かつ十分な注意を求め、この事業の適正な執行を確保することであると考えているところでございます。