平成23年 9月定例会本会議(代表質問)

県議会での主な発言

第2回岩手県議会定例会会議録(第2号)

平成23年10月13日(木曜日)

○39番(佐々木順一君) 民主党の佐々木順一でございます。
 会派を代表し、一般質問をさせていただきますが、質問に入るに先立ち、あの忘れることのできない3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた、まさに未曾有の巨大津波により、本県は、かけがえのない余りにも多くの県民の命が奪われ、沿岸地域を中心に、甚大な被害をこうむることになりました。ここに、改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。また、発災以来、さまざまな機関、団体、そして全国の数多くの方々から、今もなお厚い御支援をいただいておりますことに、深く感謝を申し上げます。
 それでは、発言通告に従い質問させていただきます。
 初めに、9月11日執行されました知事選挙の結果につきましてお伺いいたします。
 民主政治の根本原理は言うまでもなく選挙であり、選挙で始まり、選挙によって、そのすべてが決着すると言っても過言ではないと思います。また、選挙の得票率の多い少ないは、当選者が選挙期間中に唱えた政策の実現力に大きな影響を与えるものでもあります。
 こうした当たり前の認識に立ちお伺いいたしますが、知事が再選を目指した過般の選挙結果は、過去最低の投票率にもかかわらず、前回の得票率を7ポイト上回る43万8,000票余りを獲得される一方、すべての市町村においても勝利をおさめるなど、四つどもえの選挙史上例のない記録となりました。ついては、今回の選挙結果について、すなわち、民意の重みを知事はどのように受けとめ、今後4年間の県政運営に反映されるお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
 同時に、選挙で示された県民の意思こそ、私は民意そのものであると思っておりますが、最近では、世論と民意を同一視する傾向にあります。世論に流され、民意をおろそかにしますと、些事にとらわれ過ぎて事の本質を見失うおそれがあることから、私は、議論を混乱、拡散させないためにも、この二つの事柄は明確に区分し県政に向き合うべきと思いますが、この点についての御認識をお伺いいたします。
 次に、千年に一度と言われる東日本大震災津波に直面された知事の所感についてお伺いいたします。
 国民の生命、身体、財産を守ることこそ、政治の絶対的使命であるにもかかわらず、今回の大災害により、万里の長城と称された防潮堤も、世界に冠たる湾口防も、また、原発の絶対的安全性もすべて否定され、町や村の全体あるいは一部の集落がそのまま消え去るという、想像を絶する事象まで発生しました。特にも、政治に携わる者すべてが、この現実を自責の念を持って直視することこそ、復興の出発点になるものと思います。
 日本の歴史を振り返ってみても、地震、津波、原発事故の三重災害が重なる深刻な重複災害に見舞われたことは初めてであると思いますが、戦前、戦後という時代区分が日本の社会構造を変える転換点になったように、平成23年3月11日を起点に、震災前、震災後といった時期区分の認識を明確に持って私どもは県政に向き合う必要があるものと思いますし、この悲惨な出来事を未来の人々に正確に語り継いでいくという、義務に近い使命感を持つことも忘れてはならないことでもあります。
 発災以来、救援、救助など、一連の災害対策や復興計画の策定などに直接向き合ってこられた知事におかれましては、復興計画中、産業の再生をなりわいの再生に置きかえたように、さまざまな思いが心の中に蓄積されているものと拝察いたします。ついては、発災から半年を経過した今日、選挙活動を含め、県内各地で県民と直接対話を重ねてこられた知事におかれましては、今回の大震災に直面しどのような思いを強くされたのか、得られた教訓も含め、みずからの復興の精神を御披瀝願います。
 次に、東日本大震災津波の復興に関し順次お尋ねいたします。
 最初に、6月に成立した基本法に明記されている復興庁のあり方についてお伺いいたします。発災直後、知事は、国の復興院構想を強く望まれるとともに、復興財源のあり方についても、政府の責任による税によらない財源の確保を求めておりましたが、制定された復興基本法では復興院は採用されず、その代替措置として、内閣に復興庁を可及的速やかに別の法律によって設置することが規定されるとともに、設置の段階で、現在、首相が本部長を務めている復興対策本部は廃止となり、復興庁がその業務を 引き継ぐものと定められております。現在、国会の論戦を通じ、復興庁の概要が明らかになってきておりますが、復興庁について知事はどのような仕組みが望ましいとお考えなのか、当初の知事の復興院構想の御披瀝も含めて御所見をお伺いいたします。
引き続きお伺いいたしますが、国難であるからこそ、民のかまどに徹した財政出動が求められると思いますし、その前に、復興の道筋やグランドデザインが先行すべきであります。
そもそも、復興事業の大半は、最重要施策の一つである復興道路の整備に代表されるように、交通ネットワークや防潮堤などの大規模建築物など、社会インフラの整備が中心であることから、当面は税に頼らない建設国債なども選択肢の一つであると思っておりますが、復興費の償還財源の確保が、時限的税源依存先行型となったことは極めて残念なことであります。ついては、財政規律を重視しなければならないことは理解するものでありますが、デフレ不況、歴史的な円高など国内外の経済情勢などを踏まえ、政治判断として、今、被災地の人々を含め、国民の皆さんに御負担を求めることが妥当なのか、本来の復興財源はどうあるべきと考えておられるのか、被災地の知事としての御所見をお伺いいたします。
 また、先般公表された県の試算では、本県の再生復興に要する経費はおよそ8兆円余りと示されたところであります。復旧、復興事業を進めていくには、当然、幾つかの中間的段階があるものと思いますが、さきに示された3分野にわたって進められる本県の復興の道筋を、それぞれの段階ごとにお示しいただきたいと思いますし、特に力点を置く分野について改めてお伺いいたします。
 一方、阪神・淡路大震災の復旧、復興とは、地域特性などの違いもあり、一概に単純比較できるものではありませんが、あの速やかな立ち直りとその後の発展は、目を見張るものがありました。当然ながら、その背景には、国の強力な復興策の推進と支援が存在したわけでありますが、このたびの大震災津波による被害状況は、まさに阪神・淡路大震災をはるかに上回る未曾有の国難そのものであります。したがいまして、第一義的には、国策として全面的に国が対処すべきものと思いますが、その前提として、国と被災自治体との任務を明確に整理し、関係機関が確認した上で、それぞれが責任を持って対応すべきであります。ついては、国と本県との役割分担はどうあるべきとお考えなのか、被災市町村の役割分担も含め、御見解をお伺いいたします。
 また、県は、現下の非常に厳しい財政状況の中にありながらも、今まで以上の積極的な財政出動を行っていく必要があります。事柄の性質によっては、費用対効果主義やコストカット主義にとらわれない、前例のない予算執行も求められると思いますが、ここ数年の県予算のいわゆる実力ベースから見て、途方もない規模の復興事業を抱え、どのように県財政を管理されていくお考えなのか、今後の財源の確保と歳出の考え方を中心に、財政の管理運営の基本方針についてお伺いいたします。 
 次に、今般の大震災津波を踏まえた今後の本県の防災体制のあり方についてお伺いいたします。
 過日開催された中央防災会議専門調査会において、自治体の機能喪失や広域避難などに備え、災害対策基本法など関連法の見直しを求める最終報告がまとめられたところでありますが、国では、この報告を受け、2年以内に法整備を進めガイドライン等を示すとされております。
 一方、県では、今般の災害対応の検証とあわせて地域防災計画の見直しに着手されており、中でも復興基本計画においては、津波対策の基本的考え方を踏まえた多重防災型まちづくりを掲げ、既に一部作業に着手されておりますが、現在進めている県の取り組みと今後国が示す方向とで、そごや乖離などが発生しないよう望むところでありますが、今後、国に対してどのように働きかけを行いながら整合性を図っていくおつもりなのか、御所見をお示し願います。
 次に、再生可能エネルギーの導入についてお伺いいたします。
 再生可能エネルギーで発電した電力を、全量、国が定める価格で買い取ることを電気事業者に義務づけた特別措置法が8月に成立、来年7月に施行予定となっておりますが、法律上の問題点としては、買い取り義務の例外規定の基準が不明瞭となっていることが指摘されております。また、風力、地熱とも、アクセスコストを含む初期投資の問題などを初め、特に風力に関しては、バードストライクや希少野生動物への配慮など、克服すべき課題は依然として存在しております。ついては、知事は、本年度中の地域温暖化対策に関する実行計画の策定を明言されたところでありますが、これらの課題にどう対応され、自然エネルギーの先進県としての地歩を築いていかれるのか、中長期にわたるそれぞれの自給率の目標設定もあわせ、御見解をお示し願います。
 次に、深刻さをきわめる放射能汚染対策についてお尋ねいたします。
 福島第一原発の事故を原因とする放射性物質の影響は全国に広がりを見せており、本県にもさまざまな影響を及ぼしております。県では、9月に放射線量低減に向けた取り組み方針などを策定し、これらの方針に基づき、積極的な取り組みが進められていることは承知しておりますが、県南部を中心に内部被曝等に対する不安が広がってきていることから、さらに踏み込んだ対策が求められております。例えば、子供たちや妊婦を対象とした放射性物質の影響についての健康調査の実施、あるいは学校給食の食材に対する検査の実施が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
 また、通学路についても、放射線量の調査と除染の対象に加えるべきものと考えます。もちろん、各種モニタリング体制の強化と即時公開はその前提として最も大切なことでありますので、その充実も求めるものであります。
 引き続き、畜産農家に対する支援の拡充についてまとめてお伺いいたします。
 この問題は、東電と国に対し、早期賠償金の支払いを求めていくべきものでありますが、国に示した肥育の買い取り単価などは、国内有数の畜産王国岩手の実情からはほど遠いものとなっており、地域の実情と家族労働を加味した形で賠償が進まなければ、畜産業を断念せざるを得ないという悲鳴が上がっております。賠償範囲を正確にとらえて、農家経営の継続のための早期の賠償金の支払いに向け、県としても一層の後押しをされるよう求めるものであります。
 同時に、経営サイクルの建て直しも急務であります。県内では、放射性物質の影響を受けた牧草を給餌した高齢の乳用牛や肉用繁殖牛については、暫定規制値を計算上下回るまでの間、出荷できない状況が続くことから、農家には必要以上の経費が発生するとともに、新たな牛の導入も滞るなど、経営サイクルが停滞しております。この解決には、出荷制限を余儀なくされている牛について買い取りを進め、市場から隔離し、処理することも必要ではないでしょうか。この対策の一環として、既に措置されている肉用牛肥育経営緊急支援事業の対象とし、経営サイクルの正常化に努めるべきと考えます。
 また、放射性物質の影響を受けた稲わらと牧草、堆肥の処理も大きな課題となっております。特に、堆肥につきましては、農家の敷地内での保管が限界に達しており、環境保全の観点からも対策が急務となっております。
 さらに、風評被害も深刻さを呈してきております。米、野菜、果実については、関係機関の調査と公開の繰り返しによって安全性が確認される一方、牛肉に関しても検査体制が整備され、基準値を超えるものは流通されない仕組みになっておりますが、現実には、安全基準を下回ったものでも取引の停止や価格の下落が起きており、風評被害に苦しんでいるのが実態であります。一連の安全基準については、国の科学的知見に基づくリスクコミュニケーションの不足もあり、国民の信頼が得られにくくなっているとはいえ、こうした風評被害が続くことは、消費者、生産者双方にとって極めて不幸であり、知事は、今まで以上に先頭に立ち、生産者と消費者の橋渡しに積極的に努めるべきと思います。
 以上の点について御見解をお伺いいたします。
 なお、先般の報道で、環境省の事務次官が、岩手における放射性物質を含む廃棄物等の中間貯蔵施設の必要性について言及されたところであります。必然的に県の対応が注目されておりますので、事務次官発言に対する認識と対応についても、あわせてお伺いいたします。
次に、知事が復興推進の三つの原則として掲げられた安全の確保、暮らしの再生、なりわいの再生に連なる各施策及び特区構想に基づき、今後の復旧、復興への対応について確認させていただきます。
まず、一つ目の原則、安全の確保の前提となる災害廃棄物の処理についてお伺いいたします。
震災発生から既に7カ月が経過し、被災地の住民は新たなまちづくりに向け一歩一歩歩み始めておりますが、現実には、いまだ大量の瓦れきが山積みされており、今後のまちづくりの進捗に影響を及ぼしかねない状況となっております。本県の災害廃棄物の総量は435万トンと推計され、これは、一般廃棄物の年間発生量48万トンの約9年分に相当する膨大な量であり、この処理、処分は、大震災からの復旧、復興へのまさに一丁目一番地であります。また、災害廃棄物には大量の塩分が含まれ除塩対策が必要であるほか、福島第一原発事故の影響により、県外での広域処理が進まないなど、通常の廃棄物処理とは異なる課題も抱えております。ついては、県において、詳細計画を策定するなどして、平成26年3月末までの処理の完了に向け、鋭意取り組みを進めていると承知しておりますが、改めてこれまでの取り組みと今後の見通しについてお示し願います。
同時に、県では、本格的な瓦れき処理に向けて、2次仮置き場における破砕、選別等を進めることとしておりますが、これら事業の実施に当たっては、可能な限り県内事業者の活用を図り、地域の復興や雇用の確保にも配慮すべきと考えますが、この点についてどのように取り組まれるお考えなのか、御見解をお伺いいたします。
 次に、防災のまちづくりについてお伺いいたします。
 復興道路を含む交通ネットワークや防潮堤など、大規模社会資本の整備については、まずは国が早期に対応するべきもので、県は国を動かし、国策の早期導入を図る大きな使命がありますが、現地において、地域住民などと向き合いながら、これからの防災対策とまちづくりを進めていく主体は、言うまでもなく市町村であり、県は、市町村が円滑に諸対策を講じていくための環境整備や、さまざまな支援並びに指導、助言などを行っていく立場にあります。県では、岩手復興特区として提言している中でまちづくり特区を掲げ、復興道路の整備のほか、土地利用規制などの諸問題の解決や優遇制度の創設など、被災自治体がまちづくりを進めやすい環境づくりを提言され、国などへの積極的な働きかけを行ってきていると承知しております。また、市町村との協議、調整を行いながら、沿岸各地の防潮堤の整備方針なども進められておりますが、多くの市町村では、今後のまちづくりなどの復興計画策定作業が思いどおりに進んでいない状態にあります。ついては、被災自治体では、計画策定に当たってどのような課題を抱えているのか、また、被災自治体の現状を踏まえ、県はどのような対応をとられるお考えなのか、これらの支援策を含めお示し願います。
 次に、二つ目の原則、すなわち、暮らしの再建にかかわる諸課題への対応についてお伺いいたします。
 被災者の暮らしに安定が戻り、活力ある地域を再生していくための第一歩は住宅確保であり、仮設住宅については計画どおりお盆前に整備が終了、避難所も8月中に解消されましたが、地元を離れての避難生活を余儀なくされている方々も依然として数多くおられます。いわば、救援段階を脱し切れない実情にありますが、被災者の多くが住まいを確保できたことについては、一定の前進と評価するものであります。今後は、真に安定した住生活の確保のため、いわゆる恒久住宅への移行を進めていくことになると思いますが、本格整備については、市町村のまちづくりなど、復興計画との兼ね合いや被災者の資金面での問題など、乗り越えなければならない数多くの課題を抱えております。
 先般、県は住宅復興の基本方針を示すなど、本格的整備に取り組まれようとしておりますが、被災者の経済的状況を踏まえれば、賃貸式の災害復興公営住宅の供給がまず必要であり、今後、早急に建設を進めていかなければならないものと考えます。ついては、国費の導入や用地などの調整など、国、市町村とのさまざまな調整の状況や、建設を速やかに進めていくための方策についてお示し願います。
関連してお伺いいたしますが、被災者の住宅取得など今後の生活に大きくかかわる課題として、住宅の二重ローン問題があります。同時に、被災事業者が企業を再建するに当たっても同じ問題を抱えております。この問題は、地域活力の再生、再建のためには、ぜひとも解決しなければならない課題であり、県では、これに真正面から取り組むべく、企業や個人の二重ローン問題解消に向けたさまざまな提言を国に対して積極的に行ってきていることは承知しておりますが、国との調整状況など、これらの二重ローン問題の解消に向けた見通しをお示し願います。
 次に、雇用問題についてお伺いいたします。
 言うまでもなく、雇用の確保は暮らしの再建に不可欠であり、被災後、当面の間は、緊急的な対応として、復旧関係事業にかかわる一時的な雇用の創出を中心に進められてきましたが、いよいよ、本来あるべき地域雇用の再生を急がねばならない時期に来ており、地元企業などのいわゆる地域雇用の受け皿を再生し、広げていくことが急務であります。ついては、被災地域の産業再生の現状と課題をどのように把握されているのか、そして、その解決のために、今後どのような取り組みを展開されていくお考えなのか。また、今後、地域雇用を確保、拡大していくために、県としてどのような対策を講じていこうとされているのか、お伺いいたします。
 次に、今後の沿岸地域の医療提供体制のあり方についてお伺いいたします。
 もともと医療資源が十分とは言いがたい本県においては、二次保健医療圏ごとに核となる県立病院を中心に、地域の県立病院、その他民間医療機関、さらには福祉分野までも含めた総合的な医療、福祉の連携体制を構築していくことが極めて重要であり、その中でも中心的役割を担う県立病院の再建をどう進めていくかについては、県民も非常に高い関心を寄せていることと思います。ついては、今回の災害により壊滅的な被害を受け、仮設の診療施設において外来診療を行っている高田、大槌、山田の3県立病院の本格的な再開についてどのように取り組まれるのか、お考えをお伺いいたします。
また、これら3病院を再建する場合、相当程度の期間を要するものと見込まれますが、その間における被災地住民にとって特に関心の高い入院医療についてはどのように対応されるお考えなのか、お示し願います。
 次に、三つ目の原則であるなりわいの再生についてお伺いいたします。
 沿岸地域の基幹産業である水産業の振興は、単に経済的側面のみならず、地域住民の復興への粘り強く、力強い取り組みを支える大きな精神的支柱となるものであります。しかしながら、漁業の復旧状況を見ると、例えば、ワカメ、ホタテ貝などの養殖施設が、震災前の約2万7,000台から約1万1,000台が復旧し、また、定置網は10月まで約6割が復旧する見込みと聞いておりますが、いまだ道半ばといったところであります。今後、本格的な復興を図るためにはどのような課題があると認識されているのか、具体的な解決策をお示し願います。
 他方、農林業、商工業、観光等の振興においても、基本的には、水産業同様の早期復興のための諸施策をしっかりと講じていただくよう求めるものでありますが、内陸地域の活発な産業活動の展開が沿岸地域の再生を誘導していく構図も非常に重要であると考えます。特にも、このたびの自動車産業における国内第3の拠点形成への動きを的確にとらえるとともに、これまで培ってきたものづくり産業の振興や平泉世界遺産登録、来年のいわてDCを踏まえた観光振興などを、体系的かつ総合的に進めていくことが重要と考えます。ついては、これらの取り組みをどのように進め、沿岸地域の産業振興へいかにして直接つなげていくお考えなのか、御所見をお示し願います。
 また、国際リニアコライダーを中核とする国際学術支援エリアの形成等にかかわる一連の取り組みは、本県の科学技術産業の振興にとどまらず、世界に貢献する岩手として、新たな地歩を固めていくことにつながる希望に満ちた取り組みであり、次代を担っていく世代に対し無限の可能性を示し、大いなる飛躍へと導くものであると考えます。ついては、この、いわゆるリニアコライダーの誘致にかかわる一連の取り組みをどのように進めていこうとされているのか、お伺いいたします。
 最後に、いわて県民計画についてお伺いいたします。
 被災地の再建、復興なくして岩手の再建、復興はあり得ない。この言葉をすべての県民は共有されているものと拝察いたしますが、一方において、岩手全体の県民力の底上げなくして、真の復旧、復興はあり得ないという視点も忘れてはなりません。しかしながら、被災自治体以外の地域からは、政策展開が被災地に集中し、内陸部の事業着手は一定期間抑制されるのではないか。あるいは、すぐれた県民性なのでしょうか、被災地優先が先決、被災地以外は我慢に徹すべきなど、謙譲の美徳さながらの声がそこはかとなく聞こえてまいりますが、いわて県民計画と復興計画を両立させ、二つの計画に掲げられている目標達成に全力で取り組むことこそ、知事に課せられた最大の責務であります。
 演述においても、県民計画のアクションプランの策定に言及され、復興には、内陸地域の活力が不可欠との認識のもとに取り組まれることを強調されておりましたが、策定に当たっての前提として、過去4年間の検証を徹底的に行う必要があります。同時に、先ほど申し述べました被災自治体以外の県民が抱えている心配事を取り除くことにも、意を用いる必要があります。いわば、アクションプラン策定に当たっては、これまでにない心配りと発想に基づいた着実な実行が求められると思いますが、前任期中の総括を含め、策定に当たっての特に留意すべき事項について御所見をお伺いいたします。
 関連してお伺いいたしますが、復興に向けての県民力結集の象徴の一つが、平成28年開催予定の国体ではないでしょうか。県は、開催の可否については最終結論にはまだ至っていないところでありますが、我が民主党会派としては、復興の象徴としても、予定どおりの開催を強く望むものであります。ついては、現段階で平成28年開催を困難視させている要因はどのようなものが挙げられるのか、お示しいただきたいと思いますし、阻害要因の除去にどう取り組まれるのか、方針決定の時期を含めお伺いいたします。
 以上で一般質問を終わりますが、最後に、改選後、実質的初の議会に臨むに当たり、会派を代表し、県民の皆様方に申し上げます。
 先般の県議選でいただいた民意を踏まえ、県民計画と復興計画の着実な推進と、選挙で私たちが県民の皆様にお約束申し上げましたがん対策基本条例、中小企業憲章岩手版の制定を含む五つの政策条例の制定、及びローカルマニフェストの実現に民主党会派所属議員全員が全力で取り組むことを改めてお誓い申し上げまして私の一般質問を終わります。 
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔知事達増拓也君登壇〕
○知事(達増拓也君) 佐々木順一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、民意への所感についてでありますが、今回の選挙では、復興の推進と希望郷いわての実現を掲げ、8月に策定した県の復興計画の着実な推進などを訴えましたところ、多くの県民の皆様からさまざまな場面で激励や感謝の言葉をいただきました。また、今回、私がちょうだいした高い得票率は、県が行ってきた発災以降の取り組みやいわて県民計画の方向性などが高く評価され、信任されたことによるものと考えております。
 今後4年間の県政運営に当たっても、岩手が一丸となった復興に向かって一つになろうとする県民の思いを尊重し、着実に復興を進め、希望郷いわての実現に向けて全力で取り組む所存であります。
次に、世論と民意についてでありますが、民意は、究極的には選挙で示されるものであり、その結果が直前の世論調査の結果と違うことが多くありますことから、民意イコール世論とは言えないという御指摘はそのとおりであると思います。その意味で、政治は民意にこそ従うべきであり、世論はむしろ政治によって動いていくものと考えるのが適当であると思います。
 次に、復興の精神についてでありますが、私は、県内各地で直接多くの県民の方々と触れ合う中で、互いに助け合い、力強く復興に向けて努力している県民の姿を目の当たりにし、県民の底力を実感することができました。また、被災地においては、多くの被災者の方々から感謝の言葉をいただき、被災者支援、復旧、復興への県の責任を改めて強く感じているところであります。
 今後においては、県民の力を結集し、また、国内外で培われた新たなつながりの芽を大切にはぐくみながら、被災者一人一人に寄り添い、だれもが再び人間らしい日々の生活を取り戻すことができる人間本位の復興がなし遂げられるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、復興庁のあり方についてでありますが、関東大震災の際に本県出身の後藤新平先生が帝都復興院を提案し、その総裁を務め、迅速な対応を行ったことが参考になると考え、それに倣うことを国の復興構想会議において提案いたしました。国においては、内閣総理大臣を復興庁の長とし、事務を統括する復興大臣等を置き、岩手県、宮城県、福島県の3県には出先機関を設置すると聞いております。
 復興庁については、内閣総理大臣の強いリーダーシップのもと、復興施策の基本方針などの国の施策の企画や総合調整を行うとともに、現地においても迅速な意思決定ができる仕組みとすることが望ましいと考えております。
 次に、復興財源のあり方についてでありますが、日本経済の状況、国際経済情勢の動きなどを踏まえ、国内の消費を拡大し、日本経済を強くする流れの中で復興を推進していくことが重要と考えております。特に被災地は経済的、財政的に深刻な状況にあり、復興財源の確保に当たっては、被災地の負担増加はもとより、消費の減退による日本経済へのマイナス影響を与えないような財源確保策を講ずるべきであると考えております。
 次に、復興の道筋についてでありますが、復興計画では、8年間を計画期間とし、今年度はまず緊急的な取り組みをしっかりと進め、被災地の安全・安心対策に取り組んだ上で、平成25年度までの3年間で復興の基盤づくりを集中的に展開することとしております。それらの成果に立って、次の3年間で本格的な復興の取り組みを推進し、最後の2年間でさらなる展開へつなげ、新しい三陸の創造を目指していきたいと考えています。
 安全の確保については、防災施設等の応急的な復旧を図りつつ、減災の考え方に基づく多重防災型まちづくりや、復興道路の整備などにより災害に強い交通ネットワークの早期の構築に取り組んでまいります。暮らしの再建については、被災者の生活の安定に向け、住宅の再建や雇用の確保、心身の健康を守るシステムの再構築、地域コミュニティ活動への支援などを推進します。
なりわいの再生については、漁船の一括購入や養殖施設等共同利用施設の早期復旧を支援しつつ、漁業、養殖業の構築と流通、加工体制の構築を一体的に推進するとともに、企業等の二重債務の解消に向けた支援を行う岩手県産業復興機構の設立に加え、融資や助成など企業再生に向けた支援をしっかり進めてまいります。
 次に、国と本県との役割分担についてでありますが、復興の実現には、国、県、市町村がしっかりと連携して、被災者に寄り添う形で被災者支援から復旧、復興へと取り組みを進めていくことが必要と考えております。そのために、被災した現場の第一線において地域特性や住民の意向を踏まえた取り組みを進めている市町村が復旧、復興の主体となり、県は、そのような市町村を積極的に支援するとともに、広域的な課題や複数市町村にわたる事業の計画作成や実施を行う役割を担うものと考えております。
 他方、国は、復興の全体方針を示し、財政的支援や復興に必要な制度設計及び事業の実施を行う役割を担うものでありますことから、県といたしましては、被災地、被災者に寄り添った制度設計や必要な財政措置が行われるよう、国に対し引き続き提案を行ってまいります。
 次に、今後の財政運営についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けて多額の財源が必要と見込まれる一方で、公債費が今後増嵩していくこと、また、主要3基金の残高が大幅に減少していることなど、本県の財政運営はこれまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれます。
このような中にあっても、被災地の復旧、復興に向けた事業には最優先で取り組んでいく必要がありますことから、まずは国庫補助負担率の引き上げや補助対象の拡大など、国費による力強い支援、地方負担に対する財源措置の充実、確保など、これまでの例にとらわれない強力な財政支援について引き続き国に対し要請し、復興財源の確保に取り組んでまいります。
また、県においても、あらゆる手法により歳入の確保に努めていくとともに、事業効果や効率性等を検証しながら歳出の徹底した見直しを行うなど、一層の選択と集中を図ることにより、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、財政の健全化にも配慮した財政運営を行ってまいります。
次に、今後の本県の防災体制のあり方についてでありますが、国が進めている防災基本計画の見直しの検討については、本県関係者も中央防災会議の専門調査会や国の検討会の委員として参画するなど被災地の意見や取り組みが反映されており、本県の多重防災型まちづくりの考え方は国とも共有できていると認識しております。
 このように、国が年末までに行う防災基本計画の見直しは東日本大震災津波の実態を十分に踏まえたものとなり、本県における地域防災計画の見直し作業と整合性が図られるものと考えております。県としては、今後とも国の動きと歩調を合わせ、より実効性の高い防災体制づくりを進めてまいります。
次に、再生可能エネルギーの導入についてでありますが、再生可能エネルギー特別措置法の施行によりコスト面での改善が図られ、今後、再生可能エネルギーの導入が進むものと期待していますが、適切な買い取り価格、期間の設定や買い取り義務の履行、電力系統への接続のための支援などについて国に対して働きかけております。
 また、風力発電等の出力の不安定さを解消するため、県としても、大容量蓄電池の設置など、支援のあり方について検討していくこととしています。
さらに、大規模発電施設の立地促進に向け、風力、太陽光発電等の適地調査を行っており、今後、市町村等とも連携を図りながら、その積極的な導入に努めてまいります。
導入目標については、適地調査などの結果を踏まえ、今年度策定予定の地球温暖化対策に関する実行計画の中に、再生可能エネルギーの総量はもとより、種類ごとの意欲的な目標を盛り込んでいく考えであります。
 次に、放射能汚染対策についてでありますが、放射性物質の影響は多岐にわたっており、県では、放射線量低減に向けた取り組み方針や県産食材の安全確保方針などを策定し、放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康と食の安全・安心を重視し、各種の取り組みを積極的に実施しております。
 これまでの放射線測定結果において比較的高い値を示している県南地域についても健康に影響を及ぼすレベルにないと認識しておりますが、県民に広がる不安を払拭するために、専門家の意見を参考にしながら、子供の健康に係る影響調査の実施に向けて検討しております。
また、放射線量等のきめ細かな測定、生活圏における除染等を含めた放射線量の低減措置や安全な県産食材の供給の取り組みを進めており、これらにより学校給食や通学路についても安全性の確保に努めてまいります。
 なお、一関市や奥州市において食材を検査するための機器導入を検討していると聞いておりますが、このような地域の実情に応じて市町村が実施する取り組みについても県として必要な支援を行います。
引き続きモニタリングポストやゲルマニウム半導体検出器等測定機器を増設し監視体制の強化を図るとともに、測定結果の速やかな公表に努め、県民の安全・安心の確保に取り組んでまいります。
 次に、畜産農家に対する支援についてでありますが、まず、損害賠償については、現在、損害賠償対策岩手県協議会において牧草に係る賠償請求が行われ、さらに肉牛に係る賠償請求に向けた取りまとめが進められております。県としては、この協議会にアドバイザーとして参画し活動を支援するとともに、東京電力に対して賠償金が早期かつ確実に支払われるよう強く申し入れているほか、国に対し、東京電力による損害賠償の確実な実施等を要請しております。
 次に、経営サイクルの正常化についてでありますが、酪農家や肉牛繁殖農家の高齢牛なども含む出荷遅延に伴う資金繰り対策としてJAグループと連携した無利子融資制度を創設したほか、現在、新たな牛の導入を促進するための高齢牛などの集中管理施設の確保について関係機関、団体と検討を進めております。
 次に、暫定許容値を超過した牧草や稲わらの処理については、市町村を支援し、適切な処理、保管を進めていくこととしており、現在、関係省庁や市町村と具体的な処理方法や保管場所などの調整を行っております。また、堆肥については、許容値を超過した堆肥の区分保管するための支援策の検討を進めております。
 次に、風評被害対策についてでありますが、本県では、牛の出荷制限の解除後、県産牛の全頭検査を行うとともに、あらゆる機会をとらえ県産牛肉の安全性について情報発信に努めておりますが、さらに明後日─15日には、本県が協賛の当番県として開催される東京食肉市場まつり2011に私も参加し、県産牛肉の安全性をアピールするなど、消費者の信頼回復に積極的に取り組んでまいります。
 次に、環境省の事務次官発言に対する認識と対応についてでありますが、事務次官発言は、除染によって生じる汚染土壌などの処理を進めるに当たって、本県を含む8都県に中間貯蔵施設の設置が必要との考えを示したものと認識しております。
 放射性物質により汚染された廃棄物や土壌、通常の処理が困難となっている稲わらなどについては、国の責任において、中間貯蔵施設の設置を含め、適切に保管及び処分が行われるよう強く要望しております。
 次に、災害廃棄物の処理についてでありますが、9月末現在で撤去率が80%となっており、年度内撤去に向けて順調に進んでおります。また、腐敗した水産物の海洋投入や魚まじりの瓦れきの処分など、生活環境に支障が生じるおそれのある廃棄物の処理を優先的に進めてまいりました。
 11月からは太平洋セメント大船渡工場においてセメント焼成が開始され、1日当たりの処理量が現状の300トンから500トンに増加する見通しであり、災害廃棄物処理の基本方針の一つであるリサイクルを重視した処理が本格化することとなります。また、宮古市小山田地区の仮設焼却炉については、9月下旬に土地造成に着手し、3月上旬の稼働に向けて整備を進めております。釜石市の溶融炉の再開とあわせて1日当たり約200トンの焼却が可能となり、処理が加速される見込みであります。
 広域処理については、国の支援のもと全国の自治体に受け入れを働きかけてきたところですが、このたび東京都との協議が調い、宮古市の災害廃棄物1万1,000トンが今年度末までに搬出される予定となっております。これを契機に、広域処理の一層の推進を図るなど、平成26年3月までの完了を目指し、処理を進めてまいります。
 次に、被災自治体の復興計画策定における課題とそれを踏まえた県の支援についてでありますが、現在、復興計画策定予定の12市町村のうち5市町村が既に策定し、その他7市町村についてもことしじゅうの策定に向け検討作業を進めているところです。
 復興計画の中で重要な部分を占める多重防災型まちづくりの基礎となる海岸堤防高さについては、おおむね十数年から百数十年に一度の頻度で発生する津波を対象として設定することとし、市町村と検討を進めてまいりました。
 今後は、最大規模の津波による市街地等の浸水も想定した土地利用計画の策定や避難体制の構築、市街地整備に係る導入事業の調整等が課題となっているところです。県といたしましては、関係機関と協力し、市町村に対する人的、技術的な支援を継続してまいりたいと考えております。
次に、住宅の復興につきましては、先日公表しました岩手県住宅復興の基本方針において、被災者向けの公営住宅を4,000戸から5,000戸確保するなどの供給計画を定めたところであります。その中で、県が設置する災害公営住宅の建設については、6月に設計費等の補正予算を計上し、現在は用地選定を進めております。
 国費の導入については、国の第1次補正予算で所要の予算が確保されていますが、災害公営住宅の建設には多大な費用を要することから、補助率のかさ上げなど国の全面的な支援を強く求めているところであります。
 建設を速やかに行っていくためには、まず用地の決定を市町村と連携して進めるとともに、設計上の工夫や民間のノウハウの活用で工期の短縮を図るなど、さまざまな対策を検討してまいります。今後、早いものは年度内着工、来年度完成を目指しており、被災者の早期の住宅確保に向けて建設を進めてまいります。
 次に、二重ローン問題についてでありますが、まず、個人住宅につきましては、全国銀行協会が主体となり個人債務者の私的整理に関するガイドラインを策定し、8月に相談窓口を設置して債務の取り扱いなどに応じているところであります。
県では、復興計画に基づき、債務者への利子補給などの負担軽減策について、現在、準備を進めております。
 一方、事業者につきましては、国、県、県内金融機関等が連携し、再生に意欲のある事業者の相談にワンストップで対応する岩手県産業復興相談センターを10月7日に開設したところであり、今後、設立を予定している岩手県産業復興機構と連携して被災企業の支援を行うことにより、事業者の債務負担の軽減が本格的に進むものと期待しております。
 次に、雇用問題についてでありますが、発災以来、県といたしましては、低利の融資制度や復旧、復興に係る補助制度の創設、そのほか中小企業基盤整備機構が整備する仮設店舗等の活用支援により、早期再建に向け鋭意取り組んできたところであります。被災地域における商工業者については、専業用地の確保や資金繰りの問題を抱えるなど、本格的な事業の復興を通じた雇用の回復にはいましばらく時間を要するものと認識しております。今後においては、緊急雇用創出事業によるさらなる雇用の創出を図るとともに、産業の早期復興を進めて地域の雇用の確保を図ってまいります。
 次に、沿岸地域の医療提供体制の今後についてでありますが、県の復興計画においては、新たなまちづくりに連動した、災害に強く、質の高い保健、医療、福祉提供体制を整備することとしており、地域の初期治療などを担ってきた県立病院については、被災した病院の再建を基本としつつ、地元市町の復興計画や地域医療再生に向けた二次保健医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら、立地場所や規模、機能等について検討してまいります。
 また、その間の入院機能についてでありますが、仮設診療施設においては外来診療機能の回復を図ったところであり、入院については、二次保健医療圏の基幹病院を中心として、圏域内の民間医療機関等と協力して対応しているところであります。しかしながら、気仙圏域においては急性期後の医療体制が他の圏域に比べ脆弱であるなどの地域事情を考慮し、高田病院の仮設診療施設に入院機能を整備する考えであります。
 次に、水産業の復興についてでありますが、水産業の復興に向けては、両輪である漁業と流通、加工業の一体的な再生が必要であるほか、漁港や漁場等の早期の復旧、整備を推進していくことが重要と認識しております。これまで、緊急に取り組むべき漁船、養殖施設等の再整備や漁港、漁場の瓦れきの撤去などを進めてきましたが、これからは、荷さばき施設等の共同利用施設の本格整備や陸揚げ岸壁の復旧に取り組んでいく必要があると考えております。
 今後とも、意欲と希望を持てる水産業の復興を目指して、復興計画に掲げる事業の着実な推進を図るため、関係団体、市町村とも連携しながら、国の支援制度等を最大限に活用し、全力で取り組みを進めてまいります。
 次に、ものづくり産業と観光振興についてでありますが、本県では、内陸地域における自動車、半導体関連産業を中核としてものづくり産業の振興を進めてきたところであります。これらの産業は世界的にも通用する産業であり、特に自動車産業は今後の成長が見込まれるなど、今後とも本県経済の牽引役として期待され、こうした内陸地域の強みをより強化することが本県経済の向上や沿岸地域の再生、復興につながることから、一層その振興に努めてまいります。
 また、観光においては、世界遺産登録により平泉の集客力が高まっていることから、来年度のいわてDCを通じてその効果の持続、拡大を図り、本県への誘客を強化します。さらに、沿岸地域と内陸地域の観光資源を結び、沿岸地域の観光の早期復興につなげてまいります。
 次に、リニアコライダーの誘致についてでありますが、国際リニアコライダーは、超伝導、超高速の測定技術、精密加工などを駆使した世界最高水準の研究施設であり、その関連技術は、医療、環境、材料などさまざまな分野に応用が可能で、新たな産業の創出や関連産業の立地等が期待されるものであります。したがって、県の復興計画においても、長期的な視点で復興に取り組む三陸創造プロジェクトの中に国際研究交流拠点形成プロジェクトとして国際リニアコライダーの誘致を盛り込んだところであります。
 国際リニアコライダー計画は、2012年末までにアジア、北米、ヨーロッパそれぞれの地域ごとに候補地サイトを特定した設計が行われ、その後、サイトの評価を行うというプロセスが研究者間で議論されていると承知しており、県としては、アジアの候補地として北上山地を特定した設計が行われるように、地質などの調査を行い、その成果を高エネルギー加速器研究機構等の研究機関に提供してきたところです。
 今後においても、これら研究機関が実施する必要な調査に協力するとともに、東北経済連合会や東北大学を中心に設立された東北地方の産学官で構成する東北加速器基礎科学研究会等と連携を図り、東北地方が一体となった国際研究所の誘致に向けてその条件整備等に努めていくこととしております。
また、国際リニアコライダー計画の推進については、世界にただ一つ国際協力によって設立される国際研究機関でありますことから、国家プロジェクトとして位置づけられるようこれまでも国に提言を行ってきたところですが、今後さらに国に対する働きかけを強めてまいります。
 次に、いわて県民計画についてでありますが、平成19年4月の知事就任以来、県政課題の解決に向けた方向性を明らかにしつつ、県民の仕事と暮らしを守ることを基本として県政運営を行ってまいりました。特に、県民所得、雇用環境、人口減少、地域医療の直面する危機に対応し、それぞれ目標を設定しながら重点的に施策の推進を図ってまいりました。その結果、本県の産業、雇用や地域医療を取り巻く環境はなお厳しい状況にあるものの、本県人口の社会減に歯どめがかかり、国民所得と県民所得の格差が縮小するなど、一定の成果を得ることができたものと考えております。
 これからの県政運営においては、復興計画を推進することがいわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現につながるとの考えのもと、両計画の着実な推進を図っていくことが重要であると認識しております。このため、第2期アクションプランに盛り込む個々具体的な施策や取り組みについては、復興に資する優先度や関連性等を勘案し、また、内陸地域の活力が沿岸地域を支えていくことにも十分配慮したものにしていきたいと考えております。
 次に、平成28年開催予定の国体についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に人的、財政的資源を集中的に投入する必要があることから、先催県のような内容での国体を開催することは現時点では難しいのではないかということが関係者間ではある程度共通の認識となっているものと考えているところであります。
 国体開催については、年内には県としての結論を出す予定としておりますが、現在、仮に開催することとなった場合を想定して、市町村及び競技団体には施設整備の簡素化、大会運営の合理化、各競技会の開催のあり方を検討いただいており、一方で、総合開会式など県が行う準備業務についても各種簡素、合理化の検討を行っているところであります。また、国や日本体育協会に対しては、どのような支援をしていただけるのか、さらに協議を重ねてまいりたいと考えているところであります。
県内事業者の活用について答弁を飛ばしておりました。
 県の災害廃棄物処理計画におきまして、地域の復興と地元雇用に配慮することを基本方針に掲げております。これに基づき、現在、企画提案型のいわゆるプロポーザル方式により、2次仮置き場において破砕、選別等を行う事業者の選定を進めておりますが、参加共同企業体に管内の事業者を含めることや、評価基準に地元事業者の活用、地元雇用の確保に関する項目を設けるなど、最大限県内事業者の活用等に配慮した仕組みとしております。
 今後、事業者を決定し、災害廃棄物の処理が本格化しますが、関係市町村とも連携しながら、より一層スピード感を持って取り組んでまいります。

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